褒めても喜ばないと、関わり方が間違っているように感じる
子どもに自信を持ってほしくて、「すごいね」「よくできたね」と声をかける。それでも表情が変わらなかったり、話をそらされたりすると、「褒め方が足りないのかな」「この子には何を言っても届かない」と感じることがあります。
まず覚えておきたいのは、褒めた直後の反応だけで、言葉が届いたかどうかは決められないということです。その場では恥ずかしくて反応できず、後から思い出している子もいます。大きなリアクションをしないことと、何も受け取っていないことは同じではありません。
親が悪いわけでも、子どもが素直でないわけでもありません。褒める回数を増やす前に、その言葉が本人にはどのように聞こえたのかを見直してみます。
褒め言葉と、本人の実感がずれていることがある
大人には成功に見えても、本人は「思った通りにできなかった」と感じているかもしれません。そんな時の「完璧だったね」は、自分の実感を分かってもらえなかった言葉として届くことがあります。人前で注目されることや、期待が高まることを負担に感じる子もいます。
「頭がいいね」「優しい子だね」のように、人柄を大きく評価されると、「次もそうでいなければならない」と緊張する場合もあります。また、何かをするたびに大人の反応が返ってくること自体が、集中を途切れさせることもあります。
同じ言葉でも、うれしく感じる子、照れる子、評価されたように感じる子がいます。発達特性や性格だけで決めつけず、その日の余力、場面、人との関係、本人が大切にしていることを合わせて考えます。
喜び方を、大人が決めなくていい
褒められた時には笑う、ありがとうと言う、といった反応を求めるほど、子どもは褒め言葉に加えて「正しく喜ぶこと」まで求められているように感じます。目をそらす、短くうなずく、そのまま作業を続けることも、その子なりの受け取り方かもしれません。
反応を急いで確かめず、言葉を置いて少し待ちます。「うれしくないの?」と問い詰めたり、さらに強い言葉を重ねたりしなくても大丈夫です。後で同じ行動を試した、自分から作品を見せに来たなど、時間を置いて現れる変化も見てみます。
評価より、見えた事実を短く伝える
反応に迷う時は、「すごい」「えらい」という評価をいったん減らし、実際に見えたことを短く言葉にします。「昨日より二行多く書いたね」「途中で休んで、もう一度戻ったね」「弟が困っているのに気づいたんだね」のような伝え方です。
事実の言葉は、子どもが自分の行動を振り返る材料になります。さらに「どこが自分ではよかった?」「難しかったところもあった?」と聞けば、大人の評価で会話を終わらせず、本人の実感を知ることができます。答えたくなさそうな時は、質問せずに終えても構いません。
結果だけでなく、始めたこと、工夫したこと、助けを求めたことにも目を向けます。ただし、見つけたことをすべて口にする必要はありません。見守ること自体が、本人の集中や達成感を守る関わりになる場面もあります。
本人に合う受け取り方を、一緒に探す
落ち着いている時に、「頑張った時、声をかけてほしい?」「そっとしておくのと、あとで聞くのはどちらがいい?」と尋ねてみます。自由に答えるのが難しければ、二つの選択肢を示したり、親指の向きや数字で答えてもらったりしてもよいでしょう。
昨日は言葉が嫌だったけれど今日は聞いてほしい、家では照れるけれど先生には言ってほしい、という変化もあります。一度決めた方法を正解にせず、その時の反応を見ながら選び直します。親も「うまく伝えたいけれど、言い方に迷っている」と率直に話して構いません。
褒めることの目的は、大人が望む反応を引き出すことではありません。子どもが自分の工夫や気持ちに気づき、「次はどうしたいか」を考えられる材料を渡すことです。
反応の薄さだけを、家庭の声かけで直そうとしない
褒め言葉だけでなく日常の会話全体を強く避ける、注目されると激しく苦しくなる、学校や家庭で不安が続く場合は、褒め方の工夫だけで抱え込まなくて大丈夫です。本人が安心して話せる人を探し、学校の先生、スクールカウンセラー、地域の相談機関などと状況を共有する方法もあります。
Orange Uでは、どの言葉が正しいかを一つに決めるのではなく、子どもの受け取り方、コンディション、関係性、その場の条件を整理します。褒めても喜ばないという反応も、親子に合うコミュニケーションを見つけるための手がかりにできます。
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